相続放棄をした場合の死亡保険金の扱い

　相続放棄をしても、死亡保険金を受け取ることはできます。

　死亡保険金は、相続財産ではないからです。

　相続放棄をした後に死亡保険金を受け取ったからといって、相続放棄が認められなくなるということもありません。

　相続放棄をした際の死亡保険金の扱いについて、以下で仕組みを説明します。

　相続放棄をしても受け取ることができる死亡保険金とは、厳密に言うと、被保険者が被相続人、受取人が特定の（元）相続人である場合の死亡保険金です。

　このような死亡保険金は、被相続人が死亡したという事実に基づき、保険会社から（元）相続人に直接支払われるものです。

　つまり、死亡保険金の請求権は、被相続人の権利ではなく、もともと（元）相続人に属する権利であるということです。

　相続放棄をすると、はじめから相続人でなかったことになるという法律効果が生じます。

　そのため、相続放棄をした人は、金銭を請求することができる権利を含め、被相続人の財産を取得することが一切できなくなります。

　しかし、死亡保険金の請求権は被相続人の財産ではないため、受け取ることができるのです。

　死亡保険金と似ているものに、生命保険に関する権利というものがあります。

　例えば、契約者が被相続人、被保険者が被相続人以外の人、受取人が被相続人になっており、貯蓄性がある生命保険について考えてみます。

このケースでは、保険を解約すると解約返戻金を受け取ることができます。

　しかし、この解約返戻金は、被相続人が保険会社に対して金銭を請求することができる権利ですので、相続財産となります。

　そのため、このケースでは解約返戻金を保険会社から受け取ってしまうと、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。

　生命保険に関する書類をしっかり読み、保険会社に請求しようとしている金銭がどのような権利に基づくものであるか、確認することが大切です。

　また、相続放棄をする時に死亡保険金を受け取ってもいいのかどうか判断に迷った場合は、お早めに弁護士に相談することをおすすめします。