相続放棄の必要書類

文責:所長 弁護士 鳥光翼

最終更新日:2024年11月13日

1 相続放棄をする際に必要となる書類の概要

 相続放棄をする場合には、管轄の家庭裁判所に対し、相続放棄申述書という書類に加え、相続関係を示すための書類や、被相続人の最後の住所地を示すための書類等を提出する必要があります。

 被相続人と相続人との関係(続柄)や、相続の開始を知った経緯によって、提出する書類は異なります。

 裁判所のWebサイトにも、相続放棄を申述する際に必要となる書類が掲載されています。

 参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述

  必要な書類が添付されていない場合、相続放棄が受理されないおそれがあります。

  相続放棄が受理されないケースについては、こちらの記事もご覧ください。

  以下、相続放棄をする際に必要となる書類について、詳細を説明します。

2 親子相続、配偶者相続の場合

 親子相続・配偶者相続では、以下の書類が必要となります。

 ⑴被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍)

 ⑵相続放棄をしようとしている相続人の戸籍謄本

 ⑶被相続人の最後の住所地が示された住民票除票または戸籍の附票

 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本は、被相続人が死亡した事実と、死亡した日を示すために必要となります。

 被相続人の最後の住所地が示された住民票除票または戸籍の附票は、相続放棄  申述書の提出先となる管轄裁判所(被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所)を確定させるために必要です。

 配偶者相続や、親の戸籍から抜けていない子に相続が発生した場合など、被相続人と相続人が1通の戸籍謄本に記載されている場合、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本と相続人の戸籍謄本を兼ねることができます。

 そのため、同じ戸籍謄本を2通提出する必要はありません。

3 父母や祖父母などの直系尊属が相続人となる場合

 直系尊属が相続人となる場合、2で記載した親子相続・配偶者相続の場合の必要書類に加え、被相続人の出生から死亡前までの連続した戸籍謄本が必要となります。

 これは、直系尊属が相続人になること、つまり被相続人に子がいないことを家庭裁判所に対して示すために必要となるからです。

 親子相続、配偶者相続と比べ、収集しなければならない戸籍謄本類が格段に増え、相続放棄の準備に要する時間が増える可能性があるため、注意が必要です。

 直系尊属が相続人となる場合、親子相続・配偶者相続と比べ、収集しなければならない戸籍謄本類が格段に増えるケースが多くあります。

 そのため、相続放棄の準備に要する時間が増える可能性が高いので、注意が必要です。

4 兄弟相続の場合

 兄弟相続の場合、2と3で記載した書類に加え、被相続人の直系尊属が死亡している旨の記載のある戸籍謄本が必要になります。

 兄弟姉妹が相続人であること、つまり直系尊属がすでにいないことを家庭裁判所に対して示すために必要となります。

5 代襲相続が発生している場合

 被相続人の相続人となるべき者(被代襲者)が既に死亡している場合、被代襲者の死亡の記載のある戸籍も必要となります。

 例えば、次のようなケースです。

 生涯独身であった高齢者の方が亡くなり、父母等の直系尊属も、兄弟姉妹も既に亡くなられているとします。

 もし被相続人の兄弟姉妹に子がいた場合、その兄弟姉妹の子が代襲相続人になるため、被相続人の兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本が必要になります。

6 その他

 相続の開始を知った日が被相続人死亡日と異なっていたり、相続放棄の申述が被相続人死亡後から3か月以上経過している場合、これらの事情について説明する資料の提出を求められることがあります。

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