相続放棄と遺族年金に関するQ&A

文責:所長 弁護士 鳥光翼

最終更新日:2024年01月10日

Q相続放棄をしても遺族基礎年金は受け取れますか?

A

 相続放棄をしても、遺族基礎年金は受け取ることはできます。

 遺族基礎年金の受給権は、被相続人の相続財産ではないためです。

 遺族基礎年金の受給権は、あくまでも受給権者である、「18歳到達年度の末日までにある子(障害の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者」または「子」固有の権利です。

 そのため、相続放棄をすることによって、被相続人の相続人ではなくなったとしても、遺族基礎年金を受け取る権利は失われません。

Q被相続人が厚生年金被保険者であった場合、相続放棄をしても遺族厚生年金は受け取れますか?

A

 遺族厚生年金も、遺族基礎年金と同様に、相続放棄をしても受け取ることはできます。

 遺族厚生年金の受給権も、被相続人の相続財産ではなく、あくまでも受給権者(優先度順に、妻、子、夫、父母、孫、祖父母)固有の権利であるため、相続放棄をしても失われることはありません。

Q相続放棄をする前に遺族年金の受け取りの手続きを始めても大丈夫ですか?

A

 遺族年金は、遺族年金受給権者固有の権利となりますので、相続放棄をする前に受け取りの手続きを始めても、相続放棄に影響することはありません。

Q相続放棄をした後に遺族年金の受け取りの手続きを始めても大丈夫ですか?

A

 相続放棄をする前と同様に、遺族年金は、遺族年金受給権者固有の権利となりますので、相続放棄後に受け取りの手続きを行っても、相続放棄に対する影響はありません。

 補足をしますと、相続放棄とは別に、遺族年金の支払いを受ける権利は、支給事由が生じた日の翌日から5年で時効によって消滅しますので、原則としてできるだけ早く手続きをすることをお勧めします。

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