相続放棄の受理証明書
1 相続放棄の受理証明書
相続放棄の受理証明書は、家庭裁判所が発行するもので、相続放棄を行ったことを対外的に示すことができる書類です。
相続放棄をした事実は公にはされないので、相続放棄をした方以外の方に対して、正式に相続放棄をした事実を示すためには、公的な書類が必要になります。
相続放棄をした事実を示すことができる書類には、相続放棄受理証明書のほか、相続放棄申述受理通知書というものもあります。
以下では、相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書の違いと、相続放棄申述受理証明書の取得方法について説明します。
2 相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書の違い
相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書は、どちらも家庭裁判所から発行され、相続放棄をした事実を示すことができる書類という点では共通しています。
相続放棄申述受理通知書は、相続放棄の手続きが完了した際、相続放棄を申述した人に対して発行されるものです。
相続放棄を申述した人だけが取得することができ、再発行をすることはできません。
これに対し、相続放棄申述受理証明書は、相続放棄を申述した人のほか、他の相続人や利害関係者(被相続人の債権者など)も取得することが可能です。
相続放棄をしていない相続人は、法務局や金融機関などで相続手続きをする際に、一部の相続人が相続放棄をしている事実を示すための書類が必要になることがあります。
相続放棄申述受理通知書を用いることもできますが、相続放棄をした人から再発行不可能な原本を預かることは不安ということもあるため、相続放棄申述受理証明書を用いることがあります。
また、相続放棄をした人が、何らかの事情で相続放棄申述受理通知書を紛失・汚損してしまった際にも、相続放棄申述受理通知書に代わる書面として相続放棄申述受理証明書を取得するということがあります。
3 相続放棄申述受理証明書の取得方法
相続放棄申述受理証明書は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、相続放棄受理証明申請書とその他必要書類、150円の収入印紙を提出することで取得することができます。
相続放棄をした人以外の相続人や、利害関係人が相続放棄申述受理証明書を申請する場合には、相続放棄をした人との関係を示す書類(戸籍謄本類)や、利害関係を示す書類(被相続人との間で締結された金銭消費貸借契約書等)が必要になります。